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眠れなくなってしまった夜行船の窓辺で、星々が奏でる信号標をつなげて時間を過ごした 波音に交じって、時折月光とは違う光が差し込む その度に膝上に広げた少女たちの名簿が静かに光った 同封されていた友人の、少しの間あの仔たちをお願いね、という細い字を何とはなしに撫ぜる
それは彼女たちに逢う前夜の事だった
旅行鞄の奥に失くしたと思っていたカメラが紛れていた
山間にあるこの地では、夏と秋は連なって訪れるらしい。 私が初めて門をくぐった日は、涼しくも蝉の声がうるさい日だった
いくつかの書き物を片づけていると 少女たちの廊下を走る足音が鳴った 特有の高い笑い声が歌うようだ 窓を開け放ってしばらくその声に聞き入った
午後の柔らかな陽射し
私が歩く靴音に交じって聞こえる小さなおしゃべり
少女というものはその体いっぱいに
特有の秘密を持っているものだ
私は時々、思いがけずそれに触れては
いつも新鮮な気持ちで彼女たちの世界に翻弄されるしかないのだ
千*Haru /百*てんか
model*MOZ